【開催報告】災害支援ネットワーク構築に向けた連続講座 第1回 ~平時からの繋がりが沖縄での被災者を支える~

2026年秋、沖縄県において民間主導の被災地支援をコーディネートする「災害支援ネットワーク(災害中間支援組織)」の設立を目指し、県内のネットワーク構築に向けた連続講座(全3回)がスタートしました。

2026年7月10日(金)、JVOAD「そなえ基金」の助成を活用して開催された第1回講座では、沖縄県内で防災・被災者支援の最前線に立つ主要団体が参加しました。
台風9号が先島諸島へ接近し、緊張感が高まる中でのオンライン開催となりましたが、各団体の平時・災害時の取り組みの共有に加え、リアルタイムな台風対応の意見交換も行われる場となりました。

1. 沖縄における「災害中間支援組織」設立の背景と現在地

講座の冒頭では、進行を務める災害プラットフォーム沖縄の宮道より、本ネットワーク構築の背景と目的が共有されました。

「三者連携」による支援体制の構築
現在、国の防災基本計画に基づき、全都道府県で「災害中間支援組織」の設置が進められています。沖縄県においても、行政(県・市町村)、社会福祉協議会(社協)、そして民間の「災害中間支援組織」が緊密に連携する「三者連携」の構築が急務となっています。
大小160の島々からなり、18町村で人口1万人以下という島しょ県である沖縄は、災害時に外部からの支援が入りづらく、到着が遅れるという地理的リスクを抱えています。2023年8月から検討を重ね、いよいよ2026年秋の設立に向け、県内団体同士の「顔の見える関係」づくりが本格化しています。

2. 主要団体の取り組み報告:それぞれの強みと課題

本講座のメインとして、県内で広範なネットワークを持つ2つの団体から、具体的な活動内容と今後の課題についてご報告いただきました。

コープおきなわ/沖縄県生協連(報告者:比嘉さん)

県内全41市町村に約24万人の組合員を擁し、離島にも強固な宅配ネットワークを持つコープおきなわ。全国の生協連との連携による組織力・ネットワーク力が強みです。

  • 平時の防災啓発活動 機関誌やカタログを通じたローリングストックの啓発をはじめ、地域に出向いての学習会を積極的に展開しています。「火も水も使わない食事作り体験」や「段ボールの簡易トイレ作り」など、被災時のリアルな環境を想定した実践的なプログラムを通じて、組合員の防災意識向上に努めています。
  • 災害発生時の支援と今後の課題 発災時には、組合員への募金活動や、全国ネットワークを駆使した物資支援、職員派遣を迅速に行います。

日本青年会議所(JC)沖縄ブロック協議会(報告者:又吉さん)

県内10カ所の青年会議所からの出向者で構成され、経営者、士業、消防職員など多様なプロフェッショナルが集うJC沖縄ブロック協議会。近年、災害支援(レジリエンス)に非常に力を入れています。

  • 家族継続計画「FCP」の推進 支援者が被災地で活動するためには、まず自身の家族の安全確保が絶対条件です。そこでJCでは、家族の連絡手段や避難行動を事前に決めておく「ファミリー・コンティニティ・プラン(FCP)」のシートを作成し、啓発を進めています。二次災害を防ぎ、迅速に他者支援へ向かうための画期的な取り組みです。
  • 企業版ふるさと納税を活用した備災支援 災害時に孤立しやすい東村や大宜味村の社協へ「ソーラーパネルと蓄電池」を寄贈。また、情報伝達が課題となる名護市辺野古地域へ「防災ラジオ」を配備するなど、地域の弱点を補うピンポイントな支援を実施。能登半島地震におけるがれき処理などの現地ボランティア実績も報告されました。

3. 多角的な視点からの意見交換:見過ごされがちな課題へ光を当てる

各団体の報告後に行われた意見交換では、参加者それぞれの専門分野から、災害支援における重要な論点が次々と提示されました。

  • 要配慮者への電源確保(医療・福祉の視点)
    在宅で人工呼吸器を利用する方々への電源支援について報告がありました。県の補助事業に加え、米軍基地内ボランティア団体(AWWA)からの寄付を活用し、約30台のポータブル蓄電池を本島(北部・中部・南部)や宮古・八重山へ分散配備し、有事に備えている実態が共有されました。
  • 観光客・在住外国人への支援(観光危機管理の視点)
    観光客や、ネパール出身者など英語が通じにくい在住外国人に対する情報伝達の難しさが指摘されました。「やさしい日本語」での声かけの重要性や、多言語通訳サービス(Language One等)といった外部ツールの活用など、言語の壁を越える支援策の必要性が確認されました。
  • ファシリテーション人材の地域展開(FAJ沖縄サロン)
    災害時の混乱した現場や情報共有会議において、議論を円滑にまとめるファシリテーターの存在は不可欠です。平時から地域の支援体制を学び、いざという時に力を発揮できる人材の育成が急務であると共有されました。
  • 「潜り込み作戦」による連携強化
    能登半島地震等での支援経験を持つ外部NGOメンバーから、「生協やJCが持つ強固な既存ネットワークを可視化し、有事に繋げるハブが必要」との意見が出ました。その具体策として、中間支援組織側からJCや生協連の定例会議へ積極的に足を運び、連携を働きかける「潜り込み作戦」の実行が提案され、各団体からも歓迎の声が上がりました。

4. 台風9号へのリアルタイムな対応と今後のアクション

折しも本講座の最中、台風9号が沖縄地方(特に先島諸島)へ接近中でした。講座の終盤では、机上の空論ではない、実際の災害対応に向けた具体的な情報共有とアクションプランの確認が行われました。

  • 先遣隊の準備と情報共有アプリの導入: 離島災害の難しさ(宿泊・食料・車両の確保)を見据え、支援者が通信機器(Starlink)等を持参し、いち早く現地へ飛ぶ準備を進めていることが報告されました。また、能登半島で開発された「位置情報と写真を紐付けて被害状況をマップ上で共有するアプリ」を沖縄でも導入し、遠隔地からの状況把握に活かす方針が示されました。
  • 三者会議の緊急開催: 台風通過後の7月13日には、県社協から石垣・宮古へ職員が2名ずつ派遣されることが決定。さらに翌14日には、県庁(福祉政策課・生活安心安全課)と県社協、そして民間支援ネットワークによる「オンライン三者会議」が設定され、即応体制が敷かれました。

5. 今後の講座予定と課題(ネクストステップ)

第1回講座を通して、平時からの「顔の見える関係」と「既存リソースの可視化」がいかに重要であるかが浮き彫りとなりました。今後は、以下の課題(宿題)を各団体で持ち帰り、連携をさらに深めていきます。

  • 今後の主なアクション課題
    • コープおきなわの災害時協定に基づく、具体的な行動計画の実効性向上。
    • JCが推進する「FCP(家族継続計画)」の普及とフィードバック。
    • 各種定例会議への「潜り込み作戦」を通じた、沖縄県内の既存ネットワークの可視化と関係構築。
    • 要配慮者への電源確保や、外国人対応に関する関係団体間のフロー確認。

【次回以降のご案内】 本講座は、被災の解像度をさらに高めるため、以下のテーマで継続開催いたします。

  • 第2回:「離島災害の解像度を高めよう」
    • 日時:2026年7月24日(金)19:00〜(オンライン開催)
    • 内容:八丈島の事例などをもとに、離島特有の災害課題を深掘りします。
  • 第3回:「市町村社協を中心とした災害ボランティアセンターのリアルな動き」
    • 日時:2026年7月28日(火)19:00〜(予定)
    • 内容:県内社協職員を招き、災害VCの実際の運営と課題について学びます。

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